バックアップとリストア
1. バックアップ
1-1. 検討事項
MailStore Serverではメールアーカイブとユーザー設定のフルバックアップを2つの方法で取得することができます:MailStore内蔵バックアップ機能の利用と、サードパーティーのバックアップ製品の利用です。
どちらの方法でバックアップを行うべきかは、求める要件や導入環境により異なります。専任の管理者がいない比較的小規模な環境の場合は、内蔵のバックアップ機能を使う事で、設定しなくとも必要なデータや設定情報が取得できるメリットがあります。テープドライブなどのデバイスへデータを移行する際には、バックアップデータを他のシステムバックアップ機能と統合する必要が生じてきます。
サードパーティーのバックアップソフトウェアを使う場合は、バックアップを正しく行うための設定が必要です。ただし、MailStore Serverのデータを異なる方法でバックアップするのではなく、既存のバックアップ運用と一元管理できるというメリットもあります。
注意点: MailStoreの 管理ツールの中のストレージの場所にある過去のアーカイブストアは書き込み禁止となっている場合があります。書き込み禁止のアーカイブストアは(移動や削除は行えないものの)検索などの操作は行え、定常的なバックアップ処理に含む必要はありません。こうしたアーカイブストアはコストパフォーマンスの高いストレージ用メディアで保管する事もできます。
1-2. バックアップ対象のデータ
各アーカイブストアには3つのコンポネントが含まれています:
- フォルダ情報とメタデータ
- メールヘッダとコンテンツ
- フルテキストインデックス
フォルダ情報とメタデータとメールヘッダとコンテンツは整合性が求められるのに対し、フルテキストインデックスは必要に応じて再構築できます。
アーカイブストアに加え MailStoreのマスターデータベース (MailStoreMaster.fdb)には全ての設定情報、ユーザーとプロファイル情報が含まれているため、バックアップする必要があります。
2. MailStore内蔵バックアップ機能の利用
MailStoreにはアーカイブのフルバックアップを行う機能が搭載されています。
フルバックアップには、全てのアーカイブメールと、ユーザーや権限などの全設定情報が含まれています。こうしたバックアップを追加設定なしにリストアするのが、元のアーカイブデータを復元するのに非常に重要と言えます。
注意点: 内蔵バックアップ機能は、MailStoreのアーカイブストアをローカルドライブに保持している場合にのみ使用できます。アーカイブストアを外部のドライブへ保持している場合は、サードパーティーのバックアップソフトウェアでフルバックアップを行う必要があります。
2-1.バックアップの流れ
データベースのバックアップは次のように行います:
- MailStore管理者 (admin)でログオンします。
- 管理ツール > 管理API > ジョブへ進み、画面の中のストレージボタンからアーカイブのバックアップを作成を選択します。
- ターゲットフォルダを指定します。
- バックアップを定期的に実行するためのタスクが作成されます。すぐに実行する事もできます。
注意点: バックアップ処理中アーカイブへはアクセスできません。アーカイブへアクセスしようとすると「メンテナンス中のためサーバーを利用できません」というエラーが表示されます。
3. サードパーティのバックアップ製品の利用
3-1. スタンダードアーカイブストアのバックアップ
MailStore ServerではMicrosoft Volume Shadow Serviceを使ったVolume Shadow Service Writer (VSS Writer)というバックアップソフトウェアを提供しています。バックアップソフトウェアはMailStoreマスターデータベースや全てのスタンダードアーカイブストアの定常的なバックアップに使用できます。ただしこの方法ではアーカイブデータの大きさによって、大きなディスク容量がバックアップ用に使われる場合があります。
MailStoreのバックアップ処理中に、正しくVSSイベントが初期化されているかどうかを確認するためには、管理ツールの中からWindowsイベントビューを開き次のイベントを検索します:
A backup session has been started. The archive has been frozen as a reaction on the OnPrepareSnapshot event. The archive has been thawn as a reaction on the OnThaw event. The backup session has been shut down.
上記のイベントがシステムログで見つからなかった場合はVolume Shadow Serviceによるバックアップは実行されていません。
この場合には、バックアップソフトウェアを実行している間、MailStore Serverサービスが停止している事を確認して下さい。バックアップ実行前にサービスを停止し、バックアップ完了時にサービスを再起動する方法については、バックアップ製品のマニュアルをご確認下さい。
3-2. 詳細アーカイブストアのバックアップ
詳細アーカイブストアではアーカイブストアのコンポネントをそれぞれ異なる場所へ保持する事ができます。例えば、フォルダ情報とメタデータはSQLデータベースに格納し、メールヘッダとコンテンツはファイルシステムに格納するといった設定が行えます。ストレージの場所によって、定期バックアップの際には、バックアップするデータの順番が非常に重要になります。
フォルダ情報とメタデータ、メールヘッダとコンテンツが同じ場所へ格納されている場合:
詳細アーカイブストアの全てのデータが同じ場所へ格納されている場合(ファイルシステム又はSQLデータベース)、この場所は整合性を維持しなくてはならなくなります。そのためには例えばVolume Shadow Serviceやデータベースバックアップ用ソフトウェアの使用などが必要になります。
フォルダ情報とメタデータ、メールヘッダとコンテンツが異なる場所へ格納されている場合:
定期バックアップの際には、バックアップするデータの順番が非常に重要になります。次の順番でバックアップを実行して下さい:
- フォルダ情報とメタデータのバックアップ
- メールヘッダとコンテンツのバックアップ
これで復旧時、全てのフォルダ情報とメタデータにメールヘッダとコンテンツが関連付けられ、データの整合性は保たれた状態となります。
4. バックアップのリストア
ここでは内蔵バックアップ機能で作成されたアーカイブ全体のデータベースバックアップがどのようにリストアされるかについて説明します。
4-1. 始めに
内蔵バックアップ機能で作成されたデータベースバックアップには、全てのアーカイブメールと、ユーザーや権限などの全設定情報が含まれています。こうしたバックアップを追加設定なしにリストアするのが、元のアーカイブデータを復元するのに非常に重要と言えます。
4-2. データベースバックアップのリストア
データベースバックアップのリストアには、MailStore Serverのインストール中に操作が必要です。次の手順に沿って下さい。
- データベースバックアップをローカルハードドライブやネットワークドライブへコピーします。
- MailStore Serverサービスの設定を起動します。プログラムの中のMailStore Serverから起動できます。
- マスターデータベースの参照…をクリックしMailStoreMaster.fdbがあるバックアップフォルダを選択します。
- OKを押して下さい。
- ウィンドウの下にあるサービスの再起動で新しい設定が保存されます。
- バックアップの作成時、アーカイブストアのフォルダ名が変更される場合もあります。その場合はマニュアルの中のストレージの場所に関する説明を参照の上、必要なパス情報の変更を行って下さい。
- バックアップがリストアされると、アーカイブデータはこれまでと同じように使用することができます。
追加のアーカイブストアがアーカイブへリストアされていない場合は、次の操作を行います:
- MailStore Serverをインストールした端末でMailStore Clientを起動し、MailStore管理者でログオンします。
- 管理ツール > ストレージのストレージの場所をクリックします。
- 画面の下にあるメニューバーで 添付をクリックし、アーカイブストアを選択します。
- 全てのアーカイブストアが添付され利用できるようになるまでこの手順を繰り返します。