2024年1月に、電子帳簿保存法が改定されます。
今回の改定は、活用したい企業が申請するようなものではなく、中小企業や個人事業主も対象になってしまうものです。
2023年10月からのインボイス制度を見据えたもののようですが、2022年から、何が電子帳簿の対象になるのか、具体的な要件は何で、どんな対処が必要なのかをまとめてみました。
そもそも電子帳簿保存法とは??
まず、電子帳簿保存法について簡単に解説です。
従来、請求書や決算などの書類は全て、紙ベースでの保存が必要でした。PDFで届いた請求書も、わざわざ印刷してファイリングしておく事が必要でした。紙だと、管理も調査も手間やコストがかかってしまう事などもあり、こうした書類の一部をデータのまま保存しておくことができる、というのが、電子帳簿保存法の始まりです。
電子帳簿保存法の適用範囲
最初に前提として、領収書や請求書といった取引は、7年間の保存義務があります。この保存は、基本的に全て紙で行われていて、メールで受け取ったものなども、印刷して保存するのが一般的でした。
ちなみに、請求書などの受取は、次のような割合で行われているそうです。
この中の、メール27.7%とシステム10.7%が、電子帳簿として扱われます。
紙以外の方法で請求書をやり取りする、といった電子取引は、テレワークなどの増加により今後より多くなってくるものではあると思います。
電子帳簿保存の要件
電子帳簿は、不正を防止するため、「真実性」と「可視性」の確保が必要とされています。
要件 訂正・削除履歴の確保(帳簿)
訂正・削除履歴が確認できる電子計算機処理システムを使用すること
要件 相互関連性の確保(帳簿)
帳簿に係る電磁的記録の記録事項とその帳簿に関連する他の帳簿の記録事項との間において、相互にその関連性を確認できるようにしておくこと
要件 関係書類等の備付け
帳簿に係る電磁的記録の保存等に併せて、システム関係書類等(システム概要書、システム仕様書、操作説明書、事務処理マニュアル等)の備付けを行うこと
要件④見読可能性の確保
帳簿に係る電磁的記録の保存等をする場所に、その電磁的記録の電子計算機処理の用に供することができる電子計算機、プログラム、ディスプレイ及びプリンタ並びにこれらの操作説明書を備え付け、その電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力できるようにしておくこと
要件⑤検索機能の確保
帳簿にかかる電磁的記録について、「年月日」「金額」「取引先」3つの検索機能を確保しておくこと
システムからダウンロードした請求書の保存方法
まずはシステムからダウンロードした請求書の具体的な保存方法です。要件の⑤に対応するためには、ファイルの中に記載された「年月日」「金額」「取引先」を検索できる製品を導入する、という選択もできますが、多分、ファイルの中身を検索しようとすると、検索データベースのサイズが膨大になり、現実的には使い物になるのかどうか疑問です。
そこで、多くの場合は、ファイルを保存する際に、日付と取引先名、金額をファイル名に入れて運用する事になりそうです。この方法であれば、ファイル名の検索だけなので、それほど負担はないと思います。
メールで受け取った請求書の保存方法
次に、メールで受け取った請求書などを保存しておく方法ですが、こちらは恐らく要件に対応するアーカイブシステムを利用するのが最も効率よく確実に対応できるかと思います。
長期間の保存はもちろん、EUのGDPRや2022年に改定される電子帳簿保存法にも対応したメールアーカイブサーバーです。オンプレミスでもクラウドでも導入していただけます。
メールアーカイブに求められる要件
① 指定した期間メールの改ざんや削除が行えない事
メールでの取引記録は5年から7年という期間、手を加えずに保管する必要があります。指定した期間、削除や編集を禁止し、元のデータである事を保証できる製品が必要になります。
② ストレージの設定の柔軟性がある事
メールを全て保存しておこうとすると、想定以上の容量を予め用意しようとして、初期コストが膨大になってしまう事がよくあります。導入のハードルを上げすぎる必要のないよう、ストレージの追加が運用開始後に行えるなど、柔軟性を持つ製品が望ましいのではないでしょうか。ストレージを年単位などで保持できると長期間での管理も行いやすいかと思います。
③ 複数条件で高速検索が行える事
保存はできても検索に毎回時間がかかってしまっては現実的に便利に使う事は難しくなります。アーカイブ製品を導入する際には、検索速度を事前に確認する事を強くお勧めします。メールアーカイブのソリューションであれば、現在お使いのメーラーの検索速度と比較するのが分かりやすいかも知れません。