1.企業のフィッシングメール対策が重要になっている理由
企業のメールは、取引先との連絡、請求書や見積書の送受信、社内の業務指示、
クラウドサービスの認証など、日常業務の中心にあります。
一方、攻撃者にとってもメールは企業を狙う重要な入口です。
IPAは2026年8月、企業組織を狙うメールを悪用した攻撃として、
フィッシング、ビジネスメール詐欺(BEC)、標的型攻撃メール、
なりすましメール、マルウェア感染を狙うメールなどを整理しています。
特に厄介なのが、正規の企業や人物になりすます偽メールです。
文章やロゴを本物らしく見せ、受信者の心理を利用してURLをクリックさせたり、
認証情報を入力させたり、送金を促したりします。
IPAも、メールを悪用した攻撃では人の心理や相手への信頼感を逆手に取る
ソーシャルエンジニアリングが利用されると説明しています。
企業のフィッシングメール対策で重要なこと
社員教育だけに頼るのではなく、メールを利用者へ届ける前の段階で
危険なメールを検査・拒否・隔離する仕組みを整えることが重要です。
2.フィッシングメール、メール詐欺、偽メールとは
2-1.フィッシングメール
フィッシングメールとは、金融機関、ECサイト、クラウドサービス、配送会社、
取引先などを装い、受信者を偽サイトへ誘導してID・パスワードなどの情報を
盗もうとするメールです。
本文中のURLをクリックさせ、ログイン画面に似せたサイトへ誘導する手口が代表的です。
2-2.メール詐欺
メール詐欺は、メールを利用して金銭や情報をだまし取る行為を広く指します。
企業では、経営者や取引先になりすまして振込を依頼する
ビジネスメール詐欺(BEC)が重要です。
IPAによれば、取引先になりすまして請求書の振込先を攻撃者の口座へ
変更させるタイプなどが確認されています。
2-3.偽メール
偽メールは、正規のメールであるかのように装ったメールを指す一般的な表現です。
社長名、会社名、取引先名、サービス名などを表示して信用させるケースがあります。
表示名だけでは正規メールか判断できないため、送信元認証や本文・URLなど
複数の要素を確認する必要があります。
3.企業がフィッシングメール対策で抱える課題
- 攻撃メールの文章やデザインが本物に近く、社員が判断しにくい
- 社長・取引先・クラウドサービスなど信頼されている名前を悪用される
- URLクリック、添付ファイル開封、認証情報入力など、人の操作が被害につながる
- 誤検知を恐れてフィルタを弱くすると、危険なメールが受信箱に届きやすくなる
- オンプレミスメール、クラウドメール、複数ドメインなど、メール環境が複雑になっている
この課題に対しては、社員が怪しいメールを見抜くという一つの防御だけでは不十分です。
入口でのメール検査、送信元認証、コンテンツ検査、隔離、アカウント保護、
社員教育、インシデント対応を組み合わせた多層防御が現実的です。
4.法人向けフィッシングメール対策で比較したい7つのポイント
① なりすましを検知できるか
Fromアドレスやドメインを偽装したメールを判定できるか確認します。
② SPF・DKIM・DMARCに対応しているか
送信元を技術的に検証する仕組みを活用できるか確認します。
③ 本文・ヘッダー・URLなどを検査できるか
送信元だけでなくメール内容そのものを検査できることが重要です。
④ 添付ファイルを制御できるか
危険なファイル形式をブロック・隔離できるか確認します。
⑤ 隔離機能があるか
疑わしいメールを隔離し、誤検知時に確認・復旧できるか確認します。
⑥ 管理しやすいか
ドメイン、ユーザー、ルール、例外、ログなどを扱いやすいか確認します。
⑦ 受信だけでなく送信も保護できるか
情報漏えいやメールシステムの悪用まで含めて検討します。
5.SecurityGatewayとは
SecurityGatewayは、SMTPメールサーバーの前段に配置して
受信・送信メールを検査するメールセキュリティゲートウェイです。
公式ヘルプでは、アンチスパム、アンチウイルス、なりすまし対策、
不正利用対策、メッセージコンテンツフィルタ、添付ファイルフィルタ、
ブロックリスト、許可リストなどが案内されています。
SecurityGatewayの考え方
フィッシングメール対策では、単なる迷惑メールフィルタとしてではなく、
なりすまし、送信元認証、本文・添付ファイル、隔離、ルール制御を組み合わせて
メールを検査する製品として捉えると分かりやすいでしょう。
6.SecurityGatewayを活用したフィッシングメール対策
6-1.複数のアンチスパム機能でメールを判定
SecurityGatewayには、ヒューリスティック分析、ベイジアン分析、
DNS・URIブロックリスト、グレイリスティングなど、複数のアンチスパム機能があります。
複数の判定材料を組み合わせ、受信メールを段階的に評価できます。
6-2.なりすましメールを検証
なりすまし対策にはSPF、DKIM検証、DMARC、Sender ID、
Callback Verification、Fromヘッダスクリーニングなどがあります。
表示名だけを信じず、技術的な正当性を確認することが重要です。
6-3.SPF・DKIM・DMARCを組み合わせる
SPFはDNS情報を利用して送信を許可されたメールホストを確認する仕組みです。
DKIMはメールの電子署名を検証します。
DMARCはFromヘッダーのドメインについてSPFやDKIMなどの結果と
ドメイン側のポリシーを利用して扱いを判断します。
SecurityGatewayではDMARC結果に応じて拒否、隔離、件名へのタグ付け、
スコア調整などを設定できます。
6-4.本文・ヘッダー・添付ファイルをルールで制御
メッセージコンテンツフィルタでは、ヘッダー、送信者、宛先、本文中の文字列、
サイズ、メッセージスコアなどを条件にルールを作成できます。
条件に一致したメールは拒否、破棄、隔離、コピー、リダイレクトなどの
処理につなげられます。
6-5.疑わしいメールを隔離する
危険なメールを止めることと、正規メールを誤って止めないことの両方が重要です。
SecurityGatewayでは疑わしいメールを隔離し、利用者または管理者が確認する運用ができます。
7.メール詐欺対策では「人」と「システム」を分けて考える
フィッシングメールやBECは人の心理を利用するため、製品だけで全てを防げるわけではありません。
IPAはBECについて、システムやセキュリティソフトによる機械的な防御だけでは
被害抑止が難しい場合があるとして、従業員への周知と多層防御を推奨しています。
- 不審なメールを見つけたら相談・報告する社内ルールを作る
- 振込先や決済方法の変更は、メール以外の方法でも確認する
- 経営層、経理、財務など金銭処理に関係する部署へ重点的に教育する
- メールアカウントのパスワードを使い回さず、多要素認証やアクセス制限を検討する
- 不審メールの情報を社内で共有し、同じ攻撃に気付けるようにする
- 被害発生時の連絡先、アカウント停止、ログ確認などの初動手順を決める
8.偽メールを見分けるために社員へ伝えたいチェックポイント
- 急な振込、支払先変更、決済方法変更を求めていないか
- 「至急」「今日中」など通常より強い緊急性を求めていないか
- 本文のURLが正規サービスのドメインと一致しているか
- 添付ファイルを突然送ってきていないか
- 表示名と実際のメールアドレスに違和感がないか
- いつもの担当者とのやり取りと内容や文体が大きく違わないか
- 少しでも違和感があれば、メールに返信せず別の連絡手段で確認する
社員教育だけでは十分ではありません
攻撃者は本物らしい文章を作り、過去のメールを悪用し、実在人物を装うことがあります。
社員教育はメールゲートウェイや認証などの技術的対策を補完するものとして
位置付けることが重要です。
9.法人の製品比較で失敗しないためのチェックリスト
- 現在のメールサーバーやクラウドメールと連携できるか
- SPF・DKIM・DMARCの検証を行えるか
- フィッシングやなりすましを複数条件から判定できるか
- 本文・ヘッダー・添付ファイルをルールで制御できるか
- 危険なメールを拒否するだけでなく隔離できるか
- 誤検知したメールを復旧しやすいか
- ユーザー単位・ドメイン単位で柔軟に設定できるか
- 管理者がログや判定結果を確認しやすいか
- 受信メールだけでなく送信メールも管理できるか
- オンプレミス、ホステッドなど自社の運用方針に合う導入形態があるか
- 導入後の運用負荷や管理者の工数が許容範囲か
10.SecurityGatewayを検討する企業
SecurityGatewayは、既存のメール環境を活用しながら、
メールの入口・出口にセキュリティ機能を追加したい企業にとって検討対象となる製品です。
スパム対策だけでなく、なりすまし、ウイルス、コンテンツ、添付ファイル、
隔離などをまとめて管理したい場合に、必要な防御機能を整理しやすい点が特徴です。
公式情報では、Microsoft 365、Exchange、Google Workspaceなどを含む
メール環境の保護も案内されています。
実際の導入可否や構成は、自社環境、メールフロー、既存セキュリティ製品との関係を
確認したうえで設計することが重要です。
SecurityGatewayについて詳しく知りたい方へ
フィッシングメール、なりすましメール、スパム、ウイルスなど、
企業を狙うメールの脅威に対するセキュリティ対策をご検討の方は、
SecurityGatewayの機能や導入方法をご確認ください。
11.導入前にIT担当者が確認する5項目
1.現在届いているフィッシングメールや偽メールの種類
現状を把握してから製品比較を行うことで、自社に必要な機能と運用方法を具体化できます。
2.特に狙われやすい部署・ユーザーと、その業務内容
現状を把握してから製品比較を行うことで、自社に必要な機能と運用方法を具体化できます。
3.オンプレミス、クラウド、混在など現在のメール構成
現状を把握してから製品比較を行うことで、自社に必要な機能と運用方法を具体化できます。
4.SPF・DKIM・DMARCの設定状況
現状を把握してから製品比較を行うことで、自社に必要な機能と運用方法を具体化できます。
5.不審メールを発見した場合の報告・隔離・調査・復旧フロー
現状を把握してから製品比較を行うことで、自社に必要な機能と運用方法を具体化できます。
12.よくある質問(FAQ)
Q1.フィッシングメールは迷惑メールフィルタだけで防げますか?
迷惑メール対策は重要ですが、それだけで十分とは限りません。
フィッシングやBECでは正規企業や人物になりすます可能性があります。
送信元認証、コンテンツ検査、添付ファイル対策、隔離、社員教育などを
組み合わせた多層防御が重要です。
Q2.社長名から届いたメールなら本物ですか?
表示名だけで本物と判断するべきではありません。
社長や企業幹部などを装った偽メールもあります。
急な送金依頼などがあれば、メールに記載された連絡先ではなく、
信頼できる別の連絡手段で確認する運用が有効です。
Q3.SecurityGatewayはフィッシングメール対策に利用できますか?
はい。アンチスパムに加え、SPF、DKIM、DMARCなどのなりすまし対策、
コンテンツフィルタ、添付ファイルフィルタ、隔離などの機能があります。
Q4.メール詐欺対策で最初に取り組むべきことは?
現在のメール環境と被害・ヒヤリハットの状況を把握し、
送信元認証、メールフィルタ、隔離、アカウント保護、社員教育、
送金時の確認ルールを棚卸しすることをおすすめします。
Q5.偽メールを開いてしまった場合は?
URLをクリックした、認証情報を入力した、添付ファイルを開いたなどの場合は、
社内のセキュリティ担当者へ速やかに報告します。
組織の手順に従い、必要に応じてパスワード変更、セッション無効化、
ログや端末の調査などを行います。
13.まとめ|フィッシングメール対策は多層防御が基本
企業を狙うフィッシングメール、メール詐欺、偽メールは、
単純な迷惑メールとは異なり、受信者の信頼や業務上の習慣を悪用します。
そのため「社員に注意してもらう」だけではなく、
メールが受信箱へ届く前の段階で危険なメールを検査・拒否・隔離する仕組みを
整えることが重要です。
SecurityGatewayは、アンチスパム、アンチウイルス、なりすまし対策、
SPF、DKIM、DMARC、コンテンツフィルタ、添付ファイルフィルタ、
隔離などを組み合わせてメール環境を保護するためのゲートウェイ製品です。
法人向けのフィッシングメール対策製品を比較する際は、
価格や単一の検知機能だけではなく、自社のメール環境との適合性、
検知・隔離、誤検知への対応、管理負荷、社員教育、インシデント対応まで
含めて評価することが大切です。
フィッシングメールやメール詐欺、なりすましメールへの対策を強化するなら、
メールセキュリティゲートウェイの導入を検討してみてはいかがでしょうか。


