国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。
この有名すぎる一文で始まる『雪国』、
著者は日本人初のノーベル文学賞を受賞した川端康成である。
私がこの本を読んだのは大分年老いてからで、25から30手前である。
有名だからか、有名すぎる故か、
(古い文学なんて、重苦しい文章ばかりで、読むのも疲れてしまうのだろう)
私の人生には無縁のものを決めつけていたのだ。
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!注意!
このブログを含む【読書】には、読者であるおじさんが
感銘を受けたシーン等を中心にあくまでも主観的な感想を述べますが、
物語のあらすじやネタバレとなる表現が含まれる部分も多々存在する為、
まっさらな状態で本を読んでみたいという方はここまでとしていただき、
それでも構わないという方のみ、下記本文を読み進めてください
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あらすじについては、私の手元にある文庫の裏表紙をなぞることにする。
島村へ燃やす雪国の芸者駒子の純情。
「無為の孤独」を清潔に非情に守っている島村の生理に、
雪国の汚れのない女の命が触れていく人生の哀しさ美しさをうたう。
私がまず感銘を受けたのは、雪国という私にとっては未開の地への美しい情景だった。
雪のみならず、山や自然の調和する情景などは、容易に絵を映すことができる。
島村が雪国へ向かう汽車の中、男を看病する女を窓に映し見たその描写が印象に残っている。
人物は透明のはかなさで、風景は夕闇のおぼろな流れで、
その二つが融け合いながらこの世ならぬ象徴の世界を描いていた。
殊に娘の顔のただなかに野山のともし火がともった時には、
島村はなんともいえぬ美しさに胸がふるえたほどだった。
そして、島村と駒子は会うたびに近づいていく。
そしておじさんは、いつしか……
駒子に、恋をしました。キャッ
もちろんこの感情は、無為徒食の主人公である島村の感情とは非なるものであって当然である。
芸者をしながらも汚れのない女の純情、切なく、時に情熱的でさえありながらも、
直接的な言葉などは一切もなく、ただ島村と過ごす一時を大切に、心にしまう。
私は、むしろ、主人公である島村よりも、駒子の心と同調したのだろうか。
いや、そうに違いない、そう思わせるシーンがあった。
島村が駒子との終焉をはっきりと意識していたからであろうこの会話。
島村「君はいい女だね」
駒子「どういいの」
島村「いい女だよ」
駒子「おかしな人」
この会話の後、駒子は激情する、そして私は同調する、
「……あんた私を笑ってたのね。やっぱり笑ってらしたのね」と。
島村は何故と、聞き違いだと不思議がる。
それは、愛情ではなく、第三者的だとも捉えられる、別れの予感を匂わせるからだろう。
直後、取り乱したことを謝る駒子も、実にいじらしく可愛らしい。
もし『雪国』に興味を持たれたという方がいれば、
何卒、まっさらな気持ちで、雪国に触れて下さい。
名作は、時を選ばず、名作なのです。
しまりのない読書感想文ではございますが、
これにて失礼したいと思います。
以上、第32回マッソー斎藤の今夜もプロテインでした。
次回、この夏までに減量予定、マシュマロ三個分!(未定)