第66話 お盆ルダリング

世間様はお盆なんですよね。

お盆は休みとなる会社もあれば、交通等最繁期となる業界もある。

それぞれなんですよね、お盆なんて。

 

 

 

 

 

普段よりも乗員の少ない電車に乗るとほんの少しの優越感を、

同時に大きな鞄を携えた帰省家族を見なければならない憂鬱を噛みしめなければならない。

それが一般的な会社員にとってのお盆である。

逆説的にいえば、お盆はそれだけのものでしかない。

 

そうなってしまったのは、いつからだろうか。

 

核家族に育ったマッソーは、実家に祖先様を招き入れる風習はない。

割りばしの刺さったお野菜や送り火等は、

小学生時代、おじいちゃん家に行った時に見たものだ。

そう、それ以来、もう見ていない。

 

 

 

中学、高校、大学、就職。

歳を重ねる毎に、田舎へ帰る回数は減るばかり。

マッソーも、十年以上、顔を出していないことになる。

冷酷な人間だからなのか、そうなっていくのが自然なのか、それとも時代のせいか。

もしかしたら、その全てなのかも知れない。

 

 

 

マッソーにも嫁がいて、そして子供でもいれば、

子供を田舎に連れていくという理由の為にそういう機会を作れるのかも知れない。

でも、それもない。

ない、無い、ナイ……ナイモノネダリ。

 

 

 

考えても仕方がない。

どうしようもない。

だから、マッソーは今年の夏、人生初のボルダリングをやった。

 

 

そびえ立つ壁に立ち向かう。

上手くなんていかない。

普段使わない筋肉がすぐに悲鳴を上げる。

次はあそこに手をかけて、足はここにかけて、無心に壁に立ち向かう。

 

 

 

登って、下りて、その繰り返し。

それが無性に心地良い。

運動で体を使うことがこんなにも気持ちがいいなんて。

 

 

 

違った。

田舎に行けない寂しさを紛らわしていただけだ。

どこかで田舎に憧れていたんだ。

田舎に行ける機会がある人達を妬んでいたんだ。

 

 

 

だからマッソーはボルダリングをする。

壁を、登る。

壁を、下りる。

何も考えずに、繰り返す。

それぞれなんですよね、お盆なんて。

 

ガオー☆

 

 

 

以上、第66回マッソー斎藤の今夜もプロテインでした。

次回、それカブトムシの雌ちゃう、大きなゴキブリや!(未定)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です