第47話 【ショートショート】憐み

 

裾を少しだけまくった細身の黒パンツからちらと見せる靴下。

靴は定番のキャンパスシューズにしようかと考えたけど、

今日は少し大人びた雰囲気でいこうと黒のブーツを選択。

 

 

 

 

 

シャツは白黒の長袖ボーダーにして、ハットも黒で合わせよう。

だけど、遊び心は忘れない。

白と黒を中心としたコーデに思い切って真っ青のロングコートを羽織る。

鞄は日本製かばん会社の質感より、

使い古した感のあるよれよれのフェイクレザーの肩掛けに決定。

口髭の調子も良さそうだ。

さぁ、出かけよう!

 

 

 

 
家を出てまもなく、近所の女子高生二人組に笑われた。

 

 

「カッコワルイ」

「シネッテカンジ」

 

 

女子高生達は、私の服装をみて憐れんでいる様子。

そんな彼女の服装は、柔軟でかつ丈夫な、

釘を打っても破れないというガルシア社が開発した

新素材でできたグレイの全身タイツを頭までスッポリと被り、

その上に制服のブレザーとスカートを重ねている。

顔には水中で使用するゴーグルのようなものを付け、

温度やら湿度やらが忙し気にピコピコと表示されている。

流行というものはいつもそうだ。

新しいだの、誰それが着ていたからだの、皆が皆、

同じような格好をして何が面白いというのだ。

女子高生の一人なんて、タイツを着た頭の上に、

スポンと青いカツラを被っている始末。

これがお洒落と言えるのだろうか。

だから私は憐みを込めてこう言ってやったんだ。

 

 

「100ネンマエノチキュウノファッションガワカラナイナンテ、カナシスギル」

 

 
以上、第47回マッソー斎藤の今夜もプロテインでした。

次回、冬雨の海の誘い<イザナイ>(未定)

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