第57話 サバイバル

 

かの有名な偉人達は皆、

後世を生きる若者達に向けて口を揃えてこう言っている。

男なら「鯖のような男になれっ!

 

 

 

 

世にはびこる居酒屋は千差万別。

大がかりなマシンが行き交う店内、監獄という名の非現実空間。

一部の女子うけするような映える(ばえる)メニューを試行錯誤して、

目まぐるしく変化する世の流れに必至になってくらいついているのだ。

悪いことだとは決して言ってはいない。

だが、古い人間だからであろうか。

ただ、それは上辺を撫でているだけの、

心(しん)を打つような本物を感じさせてはくれない。

 

 
中野に「さば銀」という店がある。

名前の通り、鯖(さば)の専門店である。

珍しいではないか、鯖をメインに据えるとは。

マッソーの中に潜んでいた心がひきつけられる。

中野ブロードウェイに続く商店街のメイン通りとは離れた一角にあるそこは、

店自体も狭く、2、3のテーブルと数席のカウンター席があるだけだ。

ウェイウェイ大学生が来るような場所では決してない。

 

 

 
メニューも実に面白い。

鯖尽くしの刺身に始まり、サバ沢庵、サバサンド、塩サバ串、etc……。

焼き鳥もあるが、網焼きという変化球。

飽きさせないではないか。

これはその時頼んだ一品である。

 

 

 


鯖のアヒージョ

※右上にチラリと映るのは、定番の鯖塩焼き。

 

 

 

このままでは、またただのお店紹介、食べログになってしまう。

マッソーが言いたいのは、実は、そうではない。

鯖はとても、偉大、な食べ物なのだ。

生では菌が危険ということもあるが、

煮てよし、焼いてよし、(でも叩きはイヤ……)なんて声が聞こえてきそうな、

万能なお魚さんなのである。

そしてマッソーが一番好きなのは、言わずもがな、塩焼きなのだ。

これはただ一言、すごいっ!

鯖は噛めば噛むほど味が出るのだ。

永遠の愛など存在しえないが、永遠に味が出続ける鯖は信じられるという位である。

塩焼きを一口頬張れば二時間はツマミいらずで酒が飲める。

言葉の通り、鯖を頬袋に入れて酒を飲む。

ちょいと塩気が欲しければ、頬袋からほんの一つまみ程の鯖を噛み出してやり、

くっちゃくっちゃと噛みしめる度に芳醇な鯖臭に口内が満たされる。

それをただの2時間程続けてやるだけなのだ。

言葉はいらない、ただ、試して欲しい。

マッソーが言ったことはすぐに現実に起こり得る奇跡なのだということに気づかされることだろう。

 

 

 

若人よ、鯖を食え。

そして男なら「鯖のような男になれっ!

噛みしめても噛みしめても味の出続けるような、

そう、鯖のような男になれっ!!

 

 

 

以上、第57回マッソー斎藤の今夜もプロテインでした。

次回、次の日までゲップの鯖臭は消えません(未定)

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