第35話 たまご天ぷら

日本食を代表する一つである「天ぷら」。

日本人なら家庭の食卓でも、ファーストフードでも食べられているであろうが、

の天ぷら」というものは、なかなかお目にかかれないのではあるまいか。

高円寺の人気天ぷら屋さん『天すけ』、一度はご賞味頂く価値のある一品である。

 

 

 

 

平日ランチは12時からであるが、行列を見越して、

11時30分には到着したものの、既に20人近い人が列を成していた。

 

 

まさかこれ程までとは……

 

 

正直な気持ちである。

確かにお店自体は広くはない。

カウンター席で12席というのが関の山。

だが、滅多にお目にかかれない一品を目の前に、

近くのファーストフードなどでお腹を満たしてしまうのは、

明瞭な邪道であると言わざるを得ない。

 

 

30分程の時が過ぎ去った頃、私はそのカウンター席に腰を下ろした。

人気のランチは「卵ランチ 1,300円」。

決して安い値段ではない。

だが、決してほかで食べられるものではない。

迷いなく、注文する。

 

 

調理は目の前で行われる。

大将がふと、こちらに視線をやって、「それでは卵を入れます」

何のことかとぼんやりと大将の手元を注視してみる。

なんと大将は、油の入った大きな鍋に卵を叩き付け、

そして生の卵が高温の油の中にダイブしたのである。

 

 
ポーチド……エッグ……?

 

 
そんな言葉が脳裏をよぎる。

そして大将は卵のからを「言葉の通り」投げ捨てると、

天ぷらの衣となる白い液体を、

高温の油から50cmの高さから箸を使って撒き散らすではないか。

みるみる内に油の鍋に咲いた、小金色の花

 

 
「天つゆにしますか? 醤油にしますか?」

 

 
私は言った、「天つゆでお願いします」

そして、私の目の前に置かれたのがこの写真の一品である。

 

 

 

 

割りばしで卵を割ると、想像通りの半熟加減。

トロリと舌にまとわりつく半熟の黄身

奥歯を伝って脳を痺れさせるサクサクの

そしてそれらと白いご飯を絶妙に調和させる天つゆの甘さ

私は恥ずかしげもなく、漏らした……

 

 

 

「うまぁっ!」

 

 

 

勿論、それだけではない。

次々と目の前で揚げられた天ぷらたちが視界を賑わしていく。

プリプリのエビ、フワフワのキス、ナス、ピーマン、とどめの小エビのかき揚げ。

そして赤味噌のお味噌汁が口の中の油を溶かしていく。

珍しく、本当に珍しく、このような感情が私の中に芽生えた。

 

 

 

永遠に咀嚼し続けていたい……

 

 

 

高円寺の人気天ぷら屋さん『天すけ』。

冒頭に申し上げたことをもう一度言わせていただく。

一度はご賞味頂く価値のある一品である。

 

 

以上、第35回マッソー斎藤の今夜もプロテインでした。

次回、どれだけ早く走れるかではなく、早く走るために何をしたかが重要なのだ(未定)

 

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