第28話 鬼退治

 

昔々あるところに、鬼が住む山がありました。

ある日のこと、山のふもとにある村の一人が、山から鬼が下りてくるのを見つけると、

「鬼が出たぞー、鬼が出たぞー」

と、村中に知らせました。

 

 

 

すると村の男たちが、色々なものを持って村の入り口に集まりました。

泥の玉、石、薪。

鬼が村に近づいてくると、村の男たちは一斉に持ってきたものを投げつけました。

バンッ、ドンッ、パンッ。

鬼はいても立ってもいられず、そそくさと山へ帰っていきました。

 

 

 

またある日のこと、鬼はきのこをたくさん乗せたざるを抱えながら、山から下りてきました。

それを村人の一人が見つけると、

「鬼がでたぞー、鬼がでたぞー」

と、村中に知らせました。

するの村の女たちが、色々な食べものを持って村の入り口に集まりました。

米、餅、野菜。

どれも村で作った新鮮なもので、鬼の大好きなものでした。

パクッ、ムシャ、ゴクン。

鬼は食べものを平らげると、急にお腹を押さえて苦しみ始めました。

食べものには、村の女たちが作ったお腹を下す薬が塗ってあったのです。

鬼はきのこを乗せたざるを地面に置くと、泣きながら山へ帰っていきました。

 

 

 

「このままでは鬼が何してくるかわからない」

村人たちは口を揃えて言いました。

「よし、次に鬼が山から下りてくる前に、万全の準備をしておこう」

 

 

 

 

 

そしてまたある日のこと、鬼はリンゴが実った大きな木を一本肩に担いで、山から下りてきました。

それを村人の一人が見つけると、

「鬼がいらっしゃったぞー、鬼がいらっしゃったぞー」

と、村中に知らせました。

すると村中の人が村の入り口に集まり、いらっしゃいませ、いらっしゃいませ、と笑顔で鬼を迎えました。

鬼が村の中央に置かれた大きな椅子に座った、その時でした。

ドスン。

大きな音を立てて、鬼は村人の前から消えてしまいました。

鬼は村人たちが作った、大きな大きな落とし穴に落ちてしまったのです。

鬼は持ってきたリンゴの木を使って、落とし穴から出ようと試みました。

「そうはさせるか」

村人たちは鬼が落ちた穴の中に、石やら泥やら、牛や馬の糞やらを一斉に投げ込みました。

そして、鬼が出てこないように落とし穴に丸太でふたをして、大きな石を乗せると、落とし穴の中を川の水で一杯にしました。

ブク、ブク、ブク。

鬼は息ができなくなってしまい、とうとう死んでしまいました。

それからというもの、鬼は山から下りてこなくなりました。

村人たちは、いつ、また、別の鬼が山から下りてきても良いよう、毎日包丁を研ぎながら、平和に暮らしましたとさ。

 

 

 

   めでたし、めでたし

 

 

 

俺が勝手に作ったお伽噺を聞いた五歳になる息子が言った。

「なんだか、村の人が鬼みたいだね」

胸が少し熱くなった。

 

 

以上、第28回マッソー斎藤の今夜もプロテインでした。

次回、クッキーが好きです! 野爆の。(未定)

 

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