第7話 いきるということ

 

ふと街を歩いていて、思わず下を向いて笑ってしまった。

誰もがマッソーと同じ感覚を持ち得ているとは思えませんし、

また違った感情を持つ人もいることでしょう。

でも、マッソーは昔からそういう人を見ると、

無性に笑みがこぼれだし、どうにもこうにもいかないのである。

 

 

すれ違った1人の40代近いと思われる男性。

紅色レザーのジャケットを羽織い、黒いロングのブーツを履いた、

言ってみればそれなりにファッションというものにこだわりを持ち、

若作りと言ってしまえばそうであるが、まあ頑張っている男性だ。

特にこだわっているのはメガネだろうか、白いフレームが特徴的で、

なんだか無性に尖がっていたんだ。

その男性のことをここでは『紅白おじ△』と呼ぶことにしよう。

でね、別にそれはいいんだ。

白いフレームのメガネ想像以上に尖っていたけど、いいんだ。

メガネはファッションだ! とかいう人もいる。
(マッソーは苦手だが……)

でもね、紅白おじ△が本当に言いたかったのは、

きっと白いフレームが尖っていることなのではないに違いない。

 

なぜなら、紅白おじ△は、

私とすれ違う際、目が合うなり、

眉間に皺を寄せてガンを飛ばしてきたから。

 

そう……

白いメガネが馬鹿みたいに尖っている以上に、

紅白おじ△自身の精神が、尖り尖っていたんだ。

 

 

 

「どうだい、この歳で尖っているオレ、かっこいいだろぅ?

そうだな、オレ自身色々な所が尖っているんだけど、

やっぱり、いきりまくっているオレの心が、

冬の澄んだ空気よりも研ぎ澄まされている証拠なんだぜ★」

 

 

 

と、言わんばかりに、こちらにガンをくれてくる。

 

マッソーは、

 

耐えきれず、

 

下を向いてしまった……

 

笑わせないで欲しいのに。。。

 

人間(特に男性に多いのかも知れないが)が生きていく中で、

たまには虚勢というものが必要な瞬間はあるのかも知れない。

だけど、小さな街の片隅で、小さな1人の人間に向かって、

いきって見せた所で、そこに心の安らぎなどあるのでしょうか。

はなはだ疑問である。

だけど、疑問を疑問のまま、マッソーの心の内に閉じ込めておくのは、

それこそマッソー精神に反するのではないのか。

そういう疑問がマッソーの脳裏をよぎり、

マッソーは歯を食いしばり、必至の心で笑いを噛み殺し、

顔を上げ、そうして紅白おじ△の目を見つめ、

ほんのちょっとの勇気を以って、

眉をひそめ、ちょっとだけいきってみたんだ。

 

 

 

目を、

 

 

 

そらされた。

 

 

 

どうしてさっ!

マッソー、もうちょっといきりたかったのにね。

マッソーおじさんもこの歳になってほんのちょっぴりの勇気を以って、

ほんのちょっぴりいきりたかっただけなのにね。。。

だから、すれ違い終えた後、マッソーは紅白おじ△の小さな背中に向かい、

背を反らせ、眉間にこれでもかという位に皺を寄せて、

あ゛ぁんっ!?」って言ってみた。

紅白おじ△は、小走りで去って行きました。

世の中、同じことをしてみても、心が通じ合うってなかなかないものなのですね。

 

以上、第7回マッソー斎藤の今夜もプロテインでした。

次回、ひざまくら耳かき中のへそゴマ取り祭り開催!(未定)